研究活動
主に両棲爬虫類や小型動物の自然史に関する研究に取り組んでいます。
以下、いくつかのテーマについて簡単に紹介します。
Onychodactylus japonicus
ハコネサンショウウオ
学部向けの研究室紹介スライド
Hynobius guttatus
マホロバサンショウウオ
東・東南・中央アジアの有尾(サンショウウオ・イモリ)目の系統分類学・生物地理・自然史
オオダイガハラサンショウウオ種群(当時)の形態的変異と遺伝的変異の不一致(Nishikawa et al.,2007)
有尾類についての様々な自然史的研究
有尾類について、系統分類学・生物地理・自然史など様々な研究に取り組んでいます。
主要な研究は左図のような系統分類に関するものです。
東南アジアの無足(アシナシイモリ)目および無尾目の系統分類学
ヌメアシナシアイモリ科の系統地理(Nishikawa et al., 2012)
クールガエル種群の歴史生物地理(Matsui et al., 2016)
ヌメアシナシアイモリ科の系統地理(Nishikawa et al., 2012)
クールガエル種群の歴史生物地理(Matsui et al., 2016)
アジア唯一の無足類(アシナシイモリ)研究室
主にインドシナとスンダを中心に研究を行っています。特に無足類(アシナシイモリ)についてはアジアで他に研究しているところはないと言っても過言ではありません。
ヌメアシナシアイモリ科の系統地理(Nishikawa et al., 2012)
クールガエル種群の歴史生物地理(Matsui et al., 2016)
オオサンショウウオの保全・外来種との交雑問題の対策
オオサンショウウオの体長測定
基礎的な生態や生活史の調査
有名な割に基礎的な研究の進んでいないオオサンショウウオの生態調査、保全活動など。
調査マニュアルと個体情報の共有に向けた取り組み
オオサンショウウオは特別天然記念物であるために、調査許可は自治体単位で、調査期間も1~3年おきに更新となります。しかし長命な動物で、かつ河川内を自由に移動するので、調査手法を統一化して、個体識別のマイクロチップ情報を自治体を越えて共有して次世代に引きつぐことが重要です。この情報共有は違法捕獲や売買への抑止効果も期待されます。調査マニュアルは日本オオサンショウウオの会のHPから入手できます。
オオサンショウウオ調査合宿
オオサンショウウオ研究を引き継いでいく次世代の研究者養成を目指して、毎年一泊二日で調査合宿を行っています。この数年は日本ハンザキ研究所のご協力の下、調査手法の習得に向けたトレーニングを行っています。
オオサンショウウオの体長測定
子供から大人まで参加している
オオサンショウウオの体長測定
子供から大人まで参加している
交雑オオサンショウウオ問題への対応
近畿地方で確認されている外来種チュウゴクオオサンショウウオと間の交雑個体について、生息状況や生態・行動の調査、遺伝的鑑定法の開発・改良、現実的な対処に取り組んでいます。京都における交雑種調査は毎月行っていますので、興味がある方はご連絡ください。面会して調査について説明や注意をさせて頂き、調査同意書にサインの上、ご参加いただけます。ボランティア保険への加入も勧めています。
オオサンショウウオの体長測定
子供から大人まで参加している
当研究室のオオサンショウウオに関する出版物
(松井研時代より)
Matsui, M. 1988. 三重県青山町産オオサンショウウオ調査報告. 青山町教育委員会. 1-28p.
Matsui, M., and T. Hayashi. 1992. Genetic uniformity in the Japanese giant salamander, Andrias japonicus. Copeia 1992(1): 232-235.
駒田格知・松井正文・高田誠. 1996. 木曽川犬山頭首工付近(各務原市)におけるオオサンショウウオの生息状況について. 淡水魚類研究会報. (2):1-18.
駒田格知・松井正文・高田誠. 1997. 木曽川犬山頭首工付近におけるオオサンショウウオの生息状況について--1996年度調査結果. 淡水魚類研究会報. (3):47-53.
駒田格知・松井正文・高田誠. 1998. 木曽川犬山頭首工付近におけるオオサンショウウオの生息状況について--1997年度調査結果. 淡水魚類研究会報. (4):62-65.
駒田格知・松井正文・杉山章・高田誠. 1999. 木曽川犬山頭首工付近におけるオオサンショウウオの生息状況について--1998年度調査結果. 淡水魚類研究会報. (5):39-47.
駒田格知・松井正文・杉山章・高田誠. 2000. 木曽川犬山頭首工付近におけるオオサンショウウオの生息状況について--1999年度調査結果. 淡水魚類研究会報. (6):13-18.
松井正文・北林栄一・高橋啓一・佐藤真一. 2001. 鮮新統・津房川層からのオオサンショウウオ化石. 琵琶湖博物館研究調査報告 (18):72-78.
駒田格知・松井正文・杉山章・高田誠. 2001. 木曽川犬山頭首工付近におけるオオサンショウウオの生息状況について--2000年度調査結果. 淡水魚類研究会報. (7):34-44.
松井正文. 2001. オオサンショウウオの属名について. 爬虫両棲類学会報. 2001(2):75-78.
駒田格知・松井正文・杉山章・高田誠. 2002. 木曽川犬山頭首工付近におけるオオサンショウウオの生息状況について--2001年度調査結果. 淡水魚類研究会報. (8):14-27.
駒田格知・松井正文・杉山章・高田誠. 2003. 木曽川犬山頭首工付近におけるオオサンショウウオの生息状況について--2002年度調査結果. 淡水魚類研究会報. (9):36-49.
駒田格知・松井正文・杉山章・高田誠・中村光孝. 2004. 木曽川犬山頭首工付近におけるオオサンショウウオの生息状況について--2003年度調査結果. 淡水魚類研究会報. (10):15-27.
駒田格知・松井正文・杉山章・高田誠・中村光孝. 2005. 木曽川犬山頭首工付近におけるオオサンショウウオの生息状況について--2004年度調査結果. 淡水魚類研究会報. (11):41-52.
駒田格知・松井正文・杉山章・高田誠・渡邊美咲・山上将史. 2006. 木曽川犬山頭首工付近におけるオオサンショウウオの生息状況について--2005年度調査結果. 淡水魚類研究会報. (12):30-40.
松井正文. 2007. 中国のオオサンショウウオ日本の河川で発見される. 自然保護 (497): 26.
Matsui, M., A. Tominaga, W.-Z. Liu, and T. Tanaka-Ueno. 2008. Reduced genetic variation in the Japanese giant salamander, Andrias japonicus (Amphibia: Caudata). Mol. Phyl. Evol. 49: 318-326.
西川完途. 2010. オオサンショウウオ科チュウゴクオオサンショウウオ-連載 東アジアの有尾類 第2回-. クリーパー (54):9, 44-49.
Yoshikawa, N., S. Kaneko, K. Kuwabara, N. Okumura, M. Matsui, and Y. Isagi. 2011. Development of microsatellite markers for the two giant salamander species (Andrias japonicus and A. davidianus). Cur. Herpetol. 30(2): 177-180.
駒田格知・松井正文・杉山章・高田誠・渡邊美咲・山上将史. 2011. 木曽川犬山頭首工付近におけるオオサンショウウオの生息状況について--2005年度調査結果. 淡水魚類研究会報. (12):30-40.
西川完途. 2011. オオサンショウウオ科(その2)チュウゴクオオサンショウウオ(補足)-連載 東アジアの有尾類 第5回-. クリーパー (57):60-64, 66-67.
Yoshikawa, N., M. Matsui, A. Hayano, and M. Inoue-Murayama. 2012. Development of microsatellite markers for the Japanese giant salamander (Andrias japonicus) through next-generation sequencing, and cross-amplification in its congener. Conservation Genetics Resources 4: 971-974.
Kleinteich, N. T., J. Herzen, F. Beckmann, M. Matsui, and A. Haas. 2013. Anatomy, function, and evolution of jaw and hyobranchial muscles in cryptobranchoid salamander larvae. J. Morphol. 275: 230-246.
駒田格知・松井正文・杉山章・高田誠.・渡邊美咲・中村光孝. 2013. 木曽川犬山頭首工付近におけるオオサンショウウオの生息状況について--2012年度調査結果. 淡水魚類研究会報. (19): 7-14.
Matsushita, Y., O. Yamakawa, H. Onuma, K. Nishikawa, M. Motokawa, and T. Yato. 2015. Andrias japonicus (Japanese Giant Salamander). Diet. Herpetological Review 46(1): 69-70.
西川完途(文)・青木麻美(絵). 2015.オオサンショウウオみつけたよ 福音館書店 科学絵本
Bletz, M., M. Vences, J. Sabino-Pinto, Y. Taguchi, N. Shimizu, K. Nishikawa, and A. Kurabayashi. 2017. Cutaneous bacterial communities of Japanese giant salamanders (Andrias japonicus). Hydrobiologia: in press (doi: 10.1007/s10750-017-3126-2).
希少種・絶滅危惧種の保全
基礎研究の充実
基礎的な生態や生活史のデータの蓄積がなければ、意味のある保全活動はできません。ゆえに基礎研究が最も重要になると言えます。研究室では地道な分布・生態調査や知見の蓄積を継続しており、国や自治体のRDB作成・改訂にも協力しています。
近畿地方におけるカスミサンショウウオの保全活動
大学構内から京都近辺の個体群について、基礎的な生活史や生態に関する調査や、モニタリングなどを行っています。
種の保存法指定種アマクササンショウウオの保全活動
九州両生爬虫類研究会や天草自然研究会らと保全に取り組み、生息地保護や天然記念物の指定に向けて活動しています。環境省の事業で生息地のパトロールも行っています。  
Hynobius guttatus
マホロバサンショウウオ
アクセス
京都大学吉田南キャンパス
人間・環境学研究科
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